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インドネシアと私
 先日、マイクロクレジットのモニタリングのために、インドネシアに行ってきました。
 インドネシアに初めて行ったのは、1995年。龍谷大学経済学研究科修士課程のころでした。『バナナと日本人』で著名な鶴見良行先生の教えを受けたくて、龍大に入った私は、インドネシアを自分の調査地に選びました。インドネシア語が簡単だからです。
 鶴見先生は、私の調査のために受け入れ先の大学や先生、現地に住んでる日本人の方を紹介してくれたお陰で、渡航準備も整った矢先の94年12月、鶴見先生は突然亡くなりました。ショックのあまり、しばらくはインドネシアに行く気持ちも失せ、途方に暮れていました。
 常に「小さな民」の目線で、「歩く見る聞く」をモットーに東南アジアを歩き続けた鶴見先生。そういう研究姿勢を引き継ぐ研究者を育てることに情熱を燃やしていた鶴見先生。今、私がやめてしまったら、鶴見先生の想いを無にすることになる。そう思い直して、出発しました。
 私が向ったのは中部ジャワ、そこで最も魅了されたのが、ジャワの市場でした。ジャワのパサール(市場)は「女の場所」。そこには見たことも無い野菜や果物、軽食、惣菜などが並び、元気な女性たちが商売を繰り広げていました。その多くは非常に零細で、夜明け前から夕方まで働いても米1kgも買えないということが分かってきました。「どうしてこんなに収入が少ないのか」その疑問を解くために、市場の女性小商人を研究テーマにしました。
 以来、16年、インドネシアに通い続けています。


パサールワルンラナンの女性たち
 調査の中心となる市場を探すのは、予想以上に大変でした。零細な商人が多い小さな市場は、外国人への警戒感が強かったのです。市場選びが難航して、困り果てていたとき、アンバラワという小さな町にある小さなワルンラナン市場を訪れました。「この野菜は何?」「どこから仕入れたの?」と拙いインドネシア語で尋ねても、皆、嫌な顔一つせず、答えてくれる。「これ食べてごらん」と手作りのお菓子をくれる女性もいる。他の市場とは明らかに違う受容的な雰囲気に触れ、この市場を調査地に決めました。
1年間の調査を終え、日本に戻って修士論文を書き、1997年、私は博士課程に進みました。間もなく、アジア経済危機が起こり、インドネシア経済は極めて大きな打撃を受けました。あの女性商人たちは大丈夫だろうか、危機の影響を調べるために、99年から1年間再調査に行きました。危機の影響は予想以上で、零細商人の多くが廃業したり、ただでさえ少なかった所得が半減したりして苦しんでいました。それを目の当たりにして、無利子の融資を始めたのです。
 95年当時、100名近かった商人は、大規模市場などに押されて、50名余りに減っています。高齢化も進んでいますが、貧しくて十分な医療を受けられず亡くなった女性も多いのです。現在、客で賑わうのは、1日のうち2時間ほどで、あとは、閑散としています。
 今回、もう一つ気がかりな話を聞きました。オランダ時代からある今の市場を新築するというのです。新築すると場所代や税金も上がります。零細な商人ほど販売できなくなる恐れがあります。市場を管理するスマラン県の職員に聞くと、大丈夫だと言いますが、俄かには信じられません。他の市場の新築では、多くの零細商人が排除されています。インドネシアは上から下まで汚職社会なので、賄賂が払えない者は、その危険が大きいのです。新築によって客が増えると言う期待も、あまり持てません。


284名のインドネシア人賛同人
 アンバラワでのわずか5日間の滞在中、284名の賛同人が集まりました。最初に賛同してくれたのは、イスラム幼稚園の先生方です。雇い止めで裁判をしているという話をすると、その場にいた先生全員が即座に賛同してくれました。写真を見ると、顔を隠し、ちょっと近寄りがたい感じですが、元気のいい女性たちばかりです。
次に私と長い付き合いの市場のおばちゃんたちに頼みました。「うちとお父ちゃんも賛同するって」「5人の子供がみんな賛同するよ」というノリで、すごい勢いで賛同人が増えていきます。地縁・血縁に基づくコミュニティがまだしっかりしている社会なので、ネットワークは強力なのです。
雇用継続を求める会のHP(http://skoyokeizoku.jimdo.com)の賛同人一覧を見てください。多くは商人、日雇労働者、農民、修理業などの零細な自営業者で、皆不安定で不十分な収入しかありません。医療保険も雇用保険も年金も生活保護も普及していないインドネシアは、持たざる者にとって、日本よりはるかに過酷な社会です。その中で苦労してきた人たちだからこそ、私の雇い止めの痛みを経験から理解して協力してくれるのです。
Terima kashi banyak, teman-teman Indonesia !! (インドネシアの皆さん、ありがとう)href="http://blog-imgs-38.fc2.com/s/k/o/skoyokeizoku/20110501233139166.jpg"
target="_blank">イスラム幼稚園の先生方



ワルンラナン市場の女性商人たち
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2011.05.01 / Top↑

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